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鼻尖形成術は本当に正しい手術方法なのか?

今回は2014年の美容外科学会(JSAPS)で講演した内容をお話します。

実際は医学知識が無いと少し難しいので、かなり簡単に書いていますがご了承ください。

 

【背景】

何年も前から、鼻先に軟骨を入れると浮き出てくるからやめたほうがいいという意見と、浮きで無い場合が多いからやって良しという意見が分かれていました。誰も実際には調べていなかったので、絶対にどちらかが正しいと断言できなかったのです。

そこで、2011年に私の恩師が患者さんをもとに調べてみました。

その結果、約30%の鼻先に軟骨が浮き出ていたことが分かりました。(患者さんが自覚したのは10%でかなり厳しく評価していますのであしからず)

誤解の無いように言っておきますが、軟骨が浮き出ないように筋膜をかぶせたり、真皮脂肪を重ねたりといった工夫はしっかりやっていましたがこのような結果。。

その後、鼻尖に移植する軟骨を丁寧に細工して絶対に浮き出てこないような工夫をしてきました。

左側は微妙に軟骨の段差があります。1mmもない段差でも浮き出る原因になるのです。ですので、軟骨の四隅を丁寧に削り、傾いたりずれたりしないようにしっかり土台の軟骨に縫合するという方法をやってきました。

 

【目的】

今回は丁寧に丁寧に細工した軟骨であれば浮き出てこないのか実際に調べた上で、今後どうしていくと更なる美容医療の発展につながるのかを考えました。

 

【方法】

当院で手術をし、1年以上の経過をみることができた患者さん約100人を調べました。

 

【結果】

軟骨の浮き出しは全体の約20%に認めており、前回と比べて改善していることが分かりました。(これも相当厳しい評価をしています)

しかし言い換えれば、どんなに頑張って軟骨の細工をしても患者さんの5人に1人は軟骨が浮き出てきてしまうということにもなります。浮き出て変だから治して欲しいという希望はほぼゼロでしたが、この割合は『鼻尖形成術』の術式そのものが問題なのではないかという疑問すらわき出てくるものでした。

 

【考察】

軟骨が浮き出る理由を語るうえで、避けて通れないのが軟骨の形です。

通常、鼻先の輪郭は鼻翼軟骨(小鼻の軟骨)の形に沿って形成されるので、うっすら真ん中が割れた鼻先になります。しかし、これまでの方法は鼻先にタイルのような平らな軟骨を積み重ねる方法なので、この形にはならないのです。

そこで最近は、鼻先が浮き出てもかっこいい鼻にするために術式を変更しました。

下記の図のように、本来の鼻先の形(鼻翼軟骨の形)に沿った方法にするようにしました。この方法は始めてまだ1年程度ですが、患者さんの満足度はかなり高いです。

 

 

私が最も行っている方法。元々の鼻翼軟骨の形に合っているため、浮き出ても自然。

アネシス美容外科 水野先生考案の方法。軟骨が折れたりしなければとても良い方法です。

室 考案。肋軟骨で鼻中隔延長などをする患者さんに余った肋軟骨で作成できる。

 

当院は鼻の他院修正が多い特殊なクリニックです。ですので、鼻先の形や糸のかかっているところを見れば、『あ、これは〇〇クリニックだね』と、その先生やクリニックの癖が分かります。

修正手術のときに団子状になった軟骨の塊が出てくるととても悲しい気持ちになります。

鼻先への軟骨移植は丁寧に!丁寧に!です。