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シリコンプロテーゼとゴアテックス どちらが良いの?①
ネット上でもよく話題になっている、
『シリコンプロテーゼとゴアテックス、どちらが良い?』
という議論に、私なりの意見を述べたいと思います。なお、この件に関しては医師により賛否意見が分かれると思いますので、あくまで私見とお考えください。
L型シリコンはなんとなくよくないと知っているけれど、I型シリコンとゴアテックスはどちらがいいのか分からない方は結構いらっしゃいます。ですが、そもそもL型が絶対にだめということはありません。L型プロテーゼでも良いという鼻のタイプもあります。
まずはじめに、一般的な既製品シリコンの特徴からお話します。
①シリコンプロテーゼ(I型)
利点
- 鼻筋がきれいに出る
- まっすぐな鼻にするのに適している
- ノーズシャドーを濃く入れるタイプの方には向いている
- 手術時間が短く腫れが少ない
- 手術が簡便である
欠点
- 輪郭が浮き出やすい
- 石灰沈着がプロテーゼの周りに生じるため定期的に入替が必要なことがある
- ほぼストレートの鼻筋にしかならない
- 長期的に見ると変異することがある(位置が変わる)
②シリコンプロテーゼ(L型)
利点
- 手術適応は限られるが、鼻先が下に下がった「Drooping nose」の症例はよい適応
- 低コストで鼻中隔延長のように鼻先が高くなる効果
- すでに鼻の穴が縦長の方に適する
欠点
- 輪郭が浮き出やすい
- 石灰沈着が生じるため定期的に入替が必要なことがある
- ほぼストレートの鼻筋にしかならない。長期的に見ると頭側に変位することがある
- L型の足の部分や頂点の部分が突出して皮膚穿孔する可能性がある
- 適応が限られている
やはり既製品シリコンの最大の弱点は、石灰沈着を招くことがあることではないでしょうか。
シリコンが経過とともに石灰沈着を招くのは周知の事実ですが、全員がそうというわけではありません。
また健康的で且つ美容手術を受けていない方にも習慣的に外力が加わ部分に石灰沈着をきたすことがあります。当然ながら既製品のシリコンプロテーゼは患者さんの骨にぴったりフィットしているわけではなく隙間がある(それはそれで良い事もあるが)ため、慢性的刺激を受けて微妙に動く?プロテーゼの周囲が石灰沈着するのではないかと勝手に考えています。
つまり、隙間が大きい、または隙間を埋める様々な工夫が実を結んでいない場合に生じやすいと考えています。
かつて大学で形成外科医をやっていた頃、『Cartinosis Cutis(皮下石灰沈着症)』について研究したことがありました。
原因は様々でしたが、外力を受けやすい部位に生じやすいとう統計データが見受けられました。
私も『鼻筋をすーっと細く出したい』と希望のある方には、できるだけ患者さんの骨の形にぴったり合うように細工を行っています。金銭的負担も少ないのでこれはこれで良い方法です。
ですが言い換えれば『鼻筋をすーっと細く出したい』という希望が無い方には全例、上記以外の方法である①オーダーメイドシリコンプロテーゼ、または②ゴアテックスを行っています。